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【洒落怖】狐の像

公開日: : 恐怖・怪奇

子どもの頃、
家の事情で一時的に母方の実家で暮らすことになった。

すぐに友達は出来るなんて思ってたんだけど、
慣れ親しんだ土地を離れるだけじゃなく、
両親とも離れて暮らさなきゃいけないってのが当時は辛くて、
友達が中々出来なかったんだ。

だから、休みの日とか放課後は、
山で一人で遊ぶのが日課になってたんだよね。

もちろん、一人で山行くなって言われてたけど、
都心に住んでた俺にとっては、山がすごく面白くて、
初めて見るものばっかりで、
自分を抑え切れなかったんだ。

まぁ、大体は山をだらだら歩いたり、
自分だけの道とか、
遊び場を作ったりしてたんだけど、
時々寂しくなっちゃうんだよね。

弟が生まれつき身体が弱かったから、
あまり両親にかまって貰えなかったってのもあって、
子どもながら孤独を感じる事が多くて、
でも誰にも言えなくて…。

両親と離れたら心だけじゃなく、
身体まで離れちゃったとか考えちゃってさ。

だから、山で遊びながら
一人で泣いたりとかしてたんだけど、
ある時泣きながら歩いてたら道に迷っちゃったんだ。

獣道みたいな所になって、
方向感覚も狂った感じで、
相当焦ったんだけど、
気付いたら小奇麗な神社に出たんだ。

狐の像が両脇にあったから、
稲荷神社だと思うんだけど、
人が来る場所に出られたって思って、
凄い安堵した気がするんだよね。

後はそこから道に沿って下ったら家に着いたんだけど、
何故かその神社だと落ち着ける様な気がして、
それ以来、その神社でよく遊んでたんだ。

まぁ、その当時は何もなくて、
ずっと一人だったんだけど、
弟の調子が良くなって家に帰ることになったんだ。

友達はほとんど出来なかったから未練はなかったんだけど、
お気に入りの場所になった神社にお別れしなきゃって思って、
その神社に行ったら、
ちっちゃい狐の木製の像が置いてあって、
何を思ったか、俺はそれを神社の人がくれた!って思って、
持ち帰っちゃったんだ。

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参照元:http://sharekowa.biz/archives/%E3%80%90%E6%B4%92%E8%90%BD%E6%80%96%E3%80%91%E7%8B%90%E3%81%AE%E5%83%8F.html
参照日:2020年5月18日 月曜日

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