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【洒落怖】すみません

公開日: : 恐怖・怪奇

日々の疲労を抱えたまま揺られる通勤電車。

突然の急ブレーキ。

乗車率200%超の車両内は将棋倒し寸前。

人身事故を告げる車掌のアナウンスに混ざり、
至るところで交わされる

「痛い」
「すみません」
「大丈夫ですか?」

の声、声。

不意に、
気弱そうな青年の声。

「迷惑掛けてすみません・・」

耳ではなく
頭の中で反響するかのような不思議な感覚。

運転再開。

また変わり映えのない日々が始まる。

得意先からのクレーム電話。

先方の怒声が耳に響く・・。

「迷惑かけてすみません・・」

同時に頭の中で反響する。

自分自身の心の声か・・。

翌日。

幹部からの呼び出し。

「君の部隊の成績は・・」

役員の怒声が耳に響く・・。

「迷惑かけてすみません・・」

同時に頭の中で反響する。

また、自分自身の心の声か・・。

自宅。妻の声。

「あなたはいつも仕事ばかり・・」

寛げるはずの家庭でも怒声が耳に響く・・。

「迷惑かけてすみません・・」

同時に頭の中で反響する。

また、また、自分・・・

もう何度同じことが繰り返された?

お得意先の方々、
会社幹部の方々、
妻よ・・

もう疲れた。

「迷惑掛けてすみません」

「迷惑かけてすみません」

今、ホームの最前列に立つ。

「迷惑掛けてすみません・・・」

さようなら。

参照元:http://sharekowa.biz/archives/%E3%80%90%E6%B4%92%E8%90%BD%E6%80%96%E3%80%91%E3%81%99%E3%81%BF%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93.html
参照日:2018年4月21日 土曜日

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